RC3階建、ユニット型80床の特別養護老人ホームで、従来型の既存特別養護老人ホームの老朽化に伴う建て替え計画である。
敷地は郊外の住宅地が立ち並ぶ地域にあるが、南側には豊かな田園地帯が広がっており、その眺望を生かした配置計画とした。外観はフレームを組むことで建物の骨格をはっきりさせるとともに周辺環境になじむように暖色系の色彩とした。
平面計画は中庭を中心として1フロア3ユニットとした。中庭を囲む回廊空間が、暗くなりがちな共用空間に自然の光を差し込み、入居者の心を癒してくれる。個室にこもりがちな入居者にとって、この空間が交流をはぐくみ、充実した日々を過ごすきっかけになればと考えた。また花見のころ入居者が集まる大きな桜の木を残しながら、既設建物と接続する開放的な渡り廊下や中庭・駐車場などの敷地全体を整備した。